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composition / listening / thinking through sound 音を聴くこと、音から聞く身体を通して、 社会との接続を探る。 COMPOSITION CURATION BIOGRAPHY CONTACT

Komposition für einen einzelnen Ton (一音のためのコンポジション)

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  10年間の留学当時、欧州で西洋音楽をやることは至極自然なことであり、その絶対的条件の上で外国語を話し、その理論と価値観のもとで作品を書くことに疑問はなかった。しかし違和感を感じ始めたのは帰国してから、フェミニズムの勉強を始めた時期だった。帰国先が長野の田舎だったことも影響している。わたしは田舎で子どもたちに音楽の基礎を教え始めた。教えるとなると、そのことがどういった理由で決められているのかを知る必要がある。ドレミがドレミでなければいけない理由や五線がどうして5本なのか、ピアノの平均律の便利さと引き換えになったそれ以外の音たちのことや拍子の書き方など、わたしの創作の細胞でもあったそれらの基礎知識が、誰によって、どういう理由で決められたのかを検証することになった。例えば、ドレミは聖ヨハネ賛歌の一つ一つの文の頭文字を取ったものであり、もちろん日本ではなくイタリア人によって考案されたものである。加えて、聖ヨハネ賛歌の文中で使われるFamuli(使徒)は男性名詞であり、そこには女性の不在を見ることができる。わたしは自分が既に血肉として身体の一部としている音楽の小さな要素の中に、わたし自身、個人が含まれていないのではないかと思うようになった。一つの音を聞くだけでも、そこに付随するこれまでの慣習や教養的な聴取は、特定の地域や文化の中ではあたかもそれが当たり前のように感じられるが、異なる文化圏に空間を移すだけで、その聴取自体が変化する。わたしが10年間の海外生活の中で最も素晴らしい聴取体験をしたのはエジプトだったが、それは西洋中心的な聴取の外に自分自身が飛び込んだ故に感じられる開放感だったのではないかと思う。もし言語の一つ一つ、あるいは漢字の一つ一つに、自分とは相いれない価値観が入り込んでいるとしたら、もう話すことをやめようかと思ってしまうだろう。このことに気づいたとき、わたしはそれまでと同じ方法では作曲をすることができないと絶望した。作曲は様々なマテリアルをもって時間を構築することにあるが、作曲以前にそのマテリアル一つ一つが再度検証されるべきであると思った。この作品は一音だけを聞くことをコンセプトに、わたし自身がその音をどのように聞くかをリサーチするために書かれている。つまり一つの音をゼロから聞くことが出来るのか、音をもう一度個人の手に戻すためのシリーズ作品として...

2024年の活動まとめ

  https://note.com/yukikocomposer/n/n0ff33bf0f25b

満月会

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 2024年8月20日に松本の薄川河川敷で、満月会と称して音を出して重ねるグループワークショップとお月見会をしました。 帰国してから音楽とは何かを根本から考えるためにリサーチをしています。またやります!

やまびこラボ こども(と大人)のためのワークショップ

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こちらのワークショップでは、「音を聞く、音を伝える」を主眼に子供たちによって描かれた自然の音のスケッチを、本人から音楽家に伝え、それを可能な限り忠実に音にする体験、またそれらの音を使った即興を聞き、音を描写する、という二段階の創作過程に参加してもらいました。 音楽創作における原点は音を聞くということ、そしてその音を伝えることだと思っています。日常の中で子供の周りには音があふれています。その中の多くが「人に聞いてもらうために発せられた音」です。これらの音には方向性があり、存在を認知してほしいという欲求があり、多くは経済活動と関連があります。 コマーシャルの音や大人の話、言葉一つ一つは何かしらの意味をもって発せられており、全て小さな子供たちの耳に届いています。しかしながら、日常の中にはこういったベクトルのない音も多く存在しています。 自然の中で聞こえる音、もしくは聞き出そうとする音は普段は聞かれない存在です。音自体にヒエラルキーはありませんが、社会構造の中で段階化された音の中には、同じように存在していても忘れられてしまう、無駄だと思われているものもあります。 イヤークリーニングでは、それらの段階化された音を一旦フラットにし、聞こえた音をそのまま描写してもらうことで、子供たちの耳に届きにくい音を聴取してもらい、更にそれらの音を子供たちにプロの音楽家へ伝えてもらいました。 何か抽象的なものを誰かに伝える、という行為も、芸術活動をする中で非常に根本的でかつ難解な態度ではあります。特に生きてきた年数が短い子供たちにとって、共通するであろう文脈上で説明することは簡単なことではありません。だからこそ、子供たちが今持っている言葉や知っていることを駆使して、なんとかわからないものを伝えようとする、そして何より大人がそれを聞こうとする瞬間がとてもクリエイティブに感じられ、普段の生活の中でいかに子供の声を聞けていなかったか、個人的に反省もありました。一人一人が同じような権利を持ち、その中で選択し、選択したものを尊重できるためには、まずは声を聴いてもらえる環境が大事だと感じます。一見無駄に感じられるようなもの、小さな声やはっきりしない言い方も、その中にはその人自身の決定があり、そのことが生きている、ということであると思います。 小さな子供にとって既に「作曲」という行為が敷居が高いものである、...

紅葉 (Arr.)

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ギターリストの山下俊輔さんのためにビートルズ作品を編曲しました。

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 佐藤紀雄さんプロデュース、ギターリストの山下俊輔さん演奏のビートルズ作品編曲プロジェクトに参加しています。今年秋に全曲お披露目です。